オリジナル創作の小ネタ置き場
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この世界には魔法という不可思議な力が存在する。
誰もが所有するものではなく、極一部の限られた者が扱うことのできる力。自然界に漂う六つの要素を借り具現化する術は時に人を助け、時に人を傷付ける。
扱う者によって善にも悪にもなる絶対的な力は畏れられ、また、利用された。私欲にまみれた人間から狙われ潜在魔力は魔物をも引き寄せる。
魔法を扱える者はその力故にその身を狙われるのだ。
この力を、そして魔法使いを護る存在――騎士と呼ばれる者たちが現れたのもこの世界では必然的なことだった。
騎士になるということは、とても名誉あることである。時代が時代ならば戦争の最前線に送り出されその剣を振るい、魔法使いの盾になる。
魔法使いのためにその身を捨てた騎士たちも決して少なくはなかった。
それが騎士の役目だったからだ。
しかしそれも昔の話。
現在でも魔法使いや騎士は存在するが、戦の無い平和な時代だ。国同士で多少のいざこざはあったが政関連であって魔法使いや騎士が投入されるような物騒なことではなく、そもそも法律として戦争に彼らの力を介入させることを禁じたのも昔の教訓からであった。
貴重な魔法使いはその力を国の発展に役立てたし、騎士も国の守衛団となり専ら蔓延る魔物討伐のためにその力を磨き人々を驚異から護るようになったのである。
そんな優秀なる人材を若者の内から育成する機関…魔学と呼ばれるその場所で、魔法科・騎士科・そして魔法騎士科として生徒たちは各々スキルアップしていくのだ。
そして魔法を扱える者と扱えない者の差はとても大きい。
将来の道にも影響するもので、魔力を持つ希少な者たちはいずれは国の重役に就くことも多く何かと優遇される。
魔力が無い者は、魔法使いと同等とまではいかないが騎士の名を与えられることで己の地位を築くことが出来た。
だからこそ騎士科は入学段階での希望人数は膨大である。無事課程を修了し騎士の称号を得れば名誉だけでなく将来を約束されたようなものだし、またその家族にも恩恵が与えられるからだ。
騎士科は、入学時から三年生まで魔法騎士科と共に同じ校舎で過ごし基礎教養と剣術を学ぶ。厳しい訓練に耐えられなかったり試験に受からなかった者たちはこの段階で振り落とされ三年修了時には入学段階の人数の半数程になる。
そして四年生になったら別の校舎に移り、ここで本格的に騎士科と魔法騎士科の生徒は別の場所で魔術を学んでいた魔法科の生徒と顔を合わす。低学年時には一般的に広い定義に当てはまる知識や技術を教わってきたが、この学年からは更に細分化された専門的な知識を身に付けていく。
この学校に入学した者たちは、ここからがスタートなのだ。
三つの科が合流し、施設の充実からその校舎の規模は低学年時とは比べ物にならないものになっている。
魔学はその性質上人里離れた場所にあり、鬱蒼と生い茂った森に出来た申し訳程度に整えられた道を荷馬車で揺られること数時間。着いたら直ぐ様荷馬車から追い出され、ある種隔離されたこの校舎にやってきた二人の少年は荘厳な門の入り口でぽかんとだらしなく口を開けていた。
「すげー」
「でけー」
呆気に取られる二人の少年こと、双子のロウ兄弟。
兄のエンと弟のコウは今年騎士科四年に学年が上がったばかりの騎士見習い。
双子としてこの辛い過程を互いに支え合う…こともなく、兄は真面目な性格でこつこつと、弟は負けず嫌いを発揮して意地でここまで生き残ったのだった。
「これからここで学ぶんだなぁ」
エンから漏れた言葉は隣にいるコウに向けられたものではなく、自分に言い聞かせているような小さな声。
そんな兄をちらりと横目に見たコウは肩の荷物を担ぎ直し、気合いを入れ直す。
「ぼんやりしてっと蹴落とされるぜ。泣く前に帰ったらどうだ?」
「お前には絶対負けない」
「俺のセリフだバーカ」
ニヤリ。
コウは小馬鹿にした笑みを兄に向けて歩き出す。
先を行く弟の背中に溜め息で返したエンは続いて魔学の門をくぐり、今ロウ兄弟の新たな一年が始まったのだった。
誰もが所有するものではなく、極一部の限られた者が扱うことのできる力。自然界に漂う六つの要素を借り具現化する術は時に人を助け、時に人を傷付ける。
扱う者によって善にも悪にもなる絶対的な力は畏れられ、また、利用された。私欲にまみれた人間から狙われ潜在魔力は魔物をも引き寄せる。
魔法を扱える者はその力故にその身を狙われるのだ。
この力を、そして魔法使いを護る存在――騎士と呼ばれる者たちが現れたのもこの世界では必然的なことだった。
騎士になるということは、とても名誉あることである。時代が時代ならば戦争の最前線に送り出されその剣を振るい、魔法使いの盾になる。
魔法使いのためにその身を捨てた騎士たちも決して少なくはなかった。
それが騎士の役目だったからだ。
しかしそれも昔の話。
現在でも魔法使いや騎士は存在するが、戦の無い平和な時代だ。国同士で多少のいざこざはあったが政関連であって魔法使いや騎士が投入されるような物騒なことではなく、そもそも法律として戦争に彼らの力を介入させることを禁じたのも昔の教訓からであった。
貴重な魔法使いはその力を国の発展に役立てたし、騎士も国の守衛団となり専ら蔓延る魔物討伐のためにその力を磨き人々を驚異から護るようになったのである。
そんな優秀なる人材を若者の内から育成する機関…魔学と呼ばれるその場所で、魔法科・騎士科・そして魔法騎士科として生徒たちは各々スキルアップしていくのだ。
そして魔法を扱える者と扱えない者の差はとても大きい。
将来の道にも影響するもので、魔力を持つ希少な者たちはいずれは国の重役に就くことも多く何かと優遇される。
魔力が無い者は、魔法使いと同等とまではいかないが騎士の名を与えられることで己の地位を築くことが出来た。
だからこそ騎士科は入学段階での希望人数は膨大である。無事課程を修了し騎士の称号を得れば名誉だけでなく将来を約束されたようなものだし、またその家族にも恩恵が与えられるからだ。
騎士科は、入学時から三年生まで魔法騎士科と共に同じ校舎で過ごし基礎教養と剣術を学ぶ。厳しい訓練に耐えられなかったり試験に受からなかった者たちはこの段階で振り落とされ三年修了時には入学段階の人数の半数程になる。
そして四年生になったら別の校舎に移り、ここで本格的に騎士科と魔法騎士科の生徒は別の場所で魔術を学んでいた魔法科の生徒と顔を合わす。低学年時には一般的に広い定義に当てはまる知識や技術を教わってきたが、この学年からは更に細分化された専門的な知識を身に付けていく。
この学校に入学した者たちは、ここからがスタートなのだ。
三つの科が合流し、施設の充実からその校舎の規模は低学年時とは比べ物にならないものになっている。
魔学はその性質上人里離れた場所にあり、鬱蒼と生い茂った森に出来た申し訳程度に整えられた道を荷馬車で揺られること数時間。着いたら直ぐ様荷馬車から追い出され、ある種隔離されたこの校舎にやってきた二人の少年は荘厳な門の入り口でぽかんとだらしなく口を開けていた。
「すげー」
「でけー」
呆気に取られる二人の少年こと、双子のロウ兄弟。
兄のエンと弟のコウは今年騎士科四年に学年が上がったばかりの騎士見習い。
双子としてこの辛い過程を互いに支え合う…こともなく、兄は真面目な性格でこつこつと、弟は負けず嫌いを発揮して意地でここまで生き残ったのだった。
「これからここで学ぶんだなぁ」
エンから漏れた言葉は隣にいるコウに向けられたものではなく、自分に言い聞かせているような小さな声。
そんな兄をちらりと横目に見たコウは肩の荷物を担ぎ直し、気合いを入れ直す。
「ぼんやりしてっと蹴落とされるぜ。泣く前に帰ったらどうだ?」
「お前には絶対負けない」
「俺のセリフだバーカ」
ニヤリ。
コウは小馬鹿にした笑みを兄に向けて歩き出す。
先を行く弟の背中に溜め息で返したエンは続いて魔学の門をくぐり、今ロウ兄弟の新たな一年が始まったのだった。
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