オリジナル創作の小ネタ置き場
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唐突なる悪魔パロ
空から悪魔が落ちてきた。
それが一時間前の出来事です。
「うん、わかった。一回整理しようか。君たちは悪魔で、優しいお父さんと魔界で一緒に住んでいるんだね。でも喧嘩したから家出をした。それで間違って人間界に落ちて、その時丁度通りかかった俺たちの上に落ちてきた…と」
「うん」
「そっか。じゃあ次に進むね。俺たちに着いて来た理由は、お腹が空いたからだったね。貧乏人な俺たちは今日を食いつなぐだけでも必死な訳だけど、女の子を夜中に放り出すなんて出来ないし、健康には悪いかもだけどカップラーメンを提供したよ。でもこれじゃあお腹がいっぱいにならないんだっけ」
「うん」
「全部食べたけどそう言ってたよね。で、悪魔である君たちの食事方法というのが…つまり今俺の上に跨っているこの状況が語っているのかな」
「うん。ということでお食事させてください」
「~~~って、待てやコラぁあああああ!!」
ボロアパートの一室に響く怒号に、テーブルの上に置いたビール缶が揺れる。
自分の兄と自称悪魔という電波娘の淡々とした会話を、今の今まで黙って聞いていたコウがブチ切れた。
「何が悪魔だよ!そんなコスプレで夜中に出歩いてるとかマジでイカれてんじゃねーか!お前もこんな女早く追い出せよ!」
「いや、でも夜に追い出すってのはまずくないか?女の子だよ」
「そんなんだから毎度毎度女にダマされんだよバーカ!!怪しさマックスだろこいつら!!」
「私たち悪魔だもん!」
「勝手に発言すんな!あとそっちのお前は降りろ。女に押し倒されたままの野郎は見たくない」
「うん」
突拍子もない言動や行動をしていた少女であったが、以外にもすんなりと意見を受け入れ大人しく万年床と化した薄いせんべい布団の上に腰を下ろす。すかさず隣に並んで座った黒髪の少女はぷくっと頬を膨らませていた。
勝気な瞳でコウを睨み付ける黒髪の少女と寝起きのようにぼんやりとした淡い水髪の少女。その格好は一般人が着るような普通の服ではなくボンテージのようで、少女たちのあまり凹凸の無いボディラインが強調されていた。露出も高い服に危ない店から逃げてきた女なのかと思ってしまうくらいに。年は十五・六といったところだろうか、瓜二つのその顔に双子のようであった。
今は情けなく少女に押し倒されていた男・エンと不機嫌そうに顔を顰めるコウも双子ということもあるが、こうして目の前で双子を見るのは不思議な気分になる。
「あんな変態まがいな格好してる女なんてどうせろくでもねーって。悪魔だなんだ言ってるしクスリでもやってんだろ…面倒ごとに巻き込まれる前に追い出しちまえって」
「面倒ごと云々言うなら、二週間前にお前が俺の家に転がり込んできた時点で面倒なんだけど。お前こそさっさと出てけよ」
「それは別の話だろ!行くとこねーんだもん」
「私たちも行くとこねーんだもん」
「だから勝手に発言すんな!お前マジなんなんだよ」
「お前じゃない、クロだよ!」
「は?」
「クロ」
自分を指さした黒髪の少女は、次の隣に向かって「こっちはシロ」と告げる。
「あ?名前か?」
「うん、クロとシロ!」
「随分と分かりやすい名前だな…」
見た目通りの名前にコウが嘆けば、隣のエンは「間違わなくていいじゃないか」と納得していた。
確かに鏡合わせしたかのようにそっくりな顔が二つ並ぶと中々困る。対称的な髪色にリンクした名前で判断できるのはいい。
「…って何がいいんだよ」
「は?」
「いや、なんでもねー。とにかく、お前ら親の連絡先とかないんか」
「やだ!お父様とは会いたくない!顔も見たくない!」
「あ?何ガキみてーなこと言ってんだよ!」
「ガキじゃない!」
「それがガキだっつってんだよ!!」
「なにをー!!」
元々の顔つきや恵まれた体格である男に凄まれればこのくらいの少女ならば怯えてしまうだろうに、同じく食ってかかるクロとの睨み合いが続く。中々肝が据わっている少女だがこの調子では埒が明かない。
「…えーっと、クロとシロって言ったよね。親と喧嘩したって言ってたけどでも向こうも心配してると思うんだ、探してるんじゃないかな。一言だけでも連絡入れてあげなきゃじゃない?」
「…」
エンが優しく問う。
頭ごなしに怒鳴りつけて更に跳ねつけられるコウとは違い、相手の言葉を引き出すことはエンの方が上手かった。しかしその分相手の流れに持って行かれることも多々あったので、そうなりそうだったら口を挟もうとコウは黙る。
親という単語に、二人の少女の顔に影が落ちていた。
「俺たちにそういう気はないけどさ、見ず知らずの男の家に上がってるってことだけでも危ないことだし…」
「お父様は心配なんかしてないよ。むしろ喜んでるんじゃ」
「まさか!家出した子供のことが心配じゃない親なんていないよ」
二人で顔を見合わせて首をかしげる少女たちは根本的に危機感が欠如してるのだろうか。これはいけないとエンは眉間を揉む。少女たちが傷ついてからでは遅いのだ。
「ていうかその格好寒いでしょ。女の子は体冷やしちゃダメなんだよ。そんな格好で外出歩くのも危ないし、君たちによからぬことをしようと近づいてくるゲス男だっているんだ」
「変なの?」
「う…ん、少なくとも一般的ではない、かな…」
妖しく黒光りする素材の衣装。大きく開いた胸元に視線を落とし次に上目遣いで問うてくるシロに、目のやりどころに困り不自然に泳ぐ兄の視線にコウは呆れ顔。
「でもこの書物の女の人、私たちと似たような服着てるよ」
「だー!!それは別!!コウ、出しっぱなしにすんなよ!!」
「それ俺のじゃねーよ」
「いいから!!」
いつ発見したのかクロが持ついかがわしい本を物凄い速さで奪いその勢いのまま台所に投げ込んで、エンはクローゼットの中から適当に掴んだ上着を彼女たちに羽織らせる。
「と、とりあえず一度家の人に連絡を入れなきゃだからね。もう夜中だけど仕方ない。迎えに来てもらおう、うん」
携帯を取り出すエンは「番号わかるよね?」とクロに携帯を渡す。しかし二人は物珍しそうに携帯を眺めているだけで意味が分かっていないようだ。
今更だがこの少女たち、持ち物が一切無い。携帯はおろか、身分を証明するようなものもないし、着の身着のままで家出してきたとでもいうのか。
不良には見えないが、色々と事情でもあったのだろうかとエンは頭を掻く。コウもすっかり炭酸の抜けたビールを飲みこんで、最悪、警察に押し付けるかと考え始めていた。
暫しの沈黙の後、シロが小さな声で呟く。
「帰りたくない。…というか、帰りたくても帰れない」
一定時間操作されなかった手の中の携帯ディスプレイが消灯される。
「喧嘩したから気まずいの?」
「違う。帰り方がわからない」
「遠いところから来たとか?」
「魔界って遠い?」
振出しに戻る。
---
悪魔なシロクロに巻き込まれるエンコウ。
一応ロウ双子は20歳くらい、シロクロは16歳くらいって感じ。犯罪臭漂うパロになりそうですね←
それが一時間前の出来事です。
「うん、わかった。一回整理しようか。君たちは悪魔で、優しいお父さんと魔界で一緒に住んでいるんだね。でも喧嘩したから家出をした。それで間違って人間界に落ちて、その時丁度通りかかった俺たちの上に落ちてきた…と」
「うん」
「そっか。じゃあ次に進むね。俺たちに着いて来た理由は、お腹が空いたからだったね。貧乏人な俺たちは今日を食いつなぐだけでも必死な訳だけど、女の子を夜中に放り出すなんて出来ないし、健康には悪いかもだけどカップラーメンを提供したよ。でもこれじゃあお腹がいっぱいにならないんだっけ」
「うん」
「全部食べたけどそう言ってたよね。で、悪魔である君たちの食事方法というのが…つまり今俺の上に跨っているこの状況が語っているのかな」
「うん。ということでお食事させてください」
「~~~って、待てやコラぁあああああ!!」
ボロアパートの一室に響く怒号に、テーブルの上に置いたビール缶が揺れる。
自分の兄と自称悪魔という電波娘の淡々とした会話を、今の今まで黙って聞いていたコウがブチ切れた。
「何が悪魔だよ!そんなコスプレで夜中に出歩いてるとかマジでイカれてんじゃねーか!お前もこんな女早く追い出せよ!」
「いや、でも夜に追い出すってのはまずくないか?女の子だよ」
「そんなんだから毎度毎度女にダマされんだよバーカ!!怪しさマックスだろこいつら!!」
「私たち悪魔だもん!」
「勝手に発言すんな!あとそっちのお前は降りろ。女に押し倒されたままの野郎は見たくない」
「うん」
突拍子もない言動や行動をしていた少女であったが、以外にもすんなりと意見を受け入れ大人しく万年床と化した薄いせんべい布団の上に腰を下ろす。すかさず隣に並んで座った黒髪の少女はぷくっと頬を膨らませていた。
勝気な瞳でコウを睨み付ける黒髪の少女と寝起きのようにぼんやりとした淡い水髪の少女。その格好は一般人が着るような普通の服ではなくボンテージのようで、少女たちのあまり凹凸の無いボディラインが強調されていた。露出も高い服に危ない店から逃げてきた女なのかと思ってしまうくらいに。年は十五・六といったところだろうか、瓜二つのその顔に双子のようであった。
今は情けなく少女に押し倒されていた男・エンと不機嫌そうに顔を顰めるコウも双子ということもあるが、こうして目の前で双子を見るのは不思議な気分になる。
「あんな変態まがいな格好してる女なんてどうせろくでもねーって。悪魔だなんだ言ってるしクスリでもやってんだろ…面倒ごとに巻き込まれる前に追い出しちまえって」
「面倒ごと云々言うなら、二週間前にお前が俺の家に転がり込んできた時点で面倒なんだけど。お前こそさっさと出てけよ」
「それは別の話だろ!行くとこねーんだもん」
「私たちも行くとこねーんだもん」
「だから勝手に発言すんな!お前マジなんなんだよ」
「お前じゃない、クロだよ!」
「は?」
「クロ」
自分を指さした黒髪の少女は、次の隣に向かって「こっちはシロ」と告げる。
「あ?名前か?」
「うん、クロとシロ!」
「随分と分かりやすい名前だな…」
見た目通りの名前にコウが嘆けば、隣のエンは「間違わなくていいじゃないか」と納得していた。
確かに鏡合わせしたかのようにそっくりな顔が二つ並ぶと中々困る。対称的な髪色にリンクした名前で判断できるのはいい。
「…って何がいいんだよ」
「は?」
「いや、なんでもねー。とにかく、お前ら親の連絡先とかないんか」
「やだ!お父様とは会いたくない!顔も見たくない!」
「あ?何ガキみてーなこと言ってんだよ!」
「ガキじゃない!」
「それがガキだっつってんだよ!!」
「なにをー!!」
元々の顔つきや恵まれた体格である男に凄まれればこのくらいの少女ならば怯えてしまうだろうに、同じく食ってかかるクロとの睨み合いが続く。中々肝が据わっている少女だがこの調子では埒が明かない。
「…えーっと、クロとシロって言ったよね。親と喧嘩したって言ってたけどでも向こうも心配してると思うんだ、探してるんじゃないかな。一言だけでも連絡入れてあげなきゃじゃない?」
「…」
エンが優しく問う。
頭ごなしに怒鳴りつけて更に跳ねつけられるコウとは違い、相手の言葉を引き出すことはエンの方が上手かった。しかしその分相手の流れに持って行かれることも多々あったので、そうなりそうだったら口を挟もうとコウは黙る。
親という単語に、二人の少女の顔に影が落ちていた。
「俺たちにそういう気はないけどさ、見ず知らずの男の家に上がってるってことだけでも危ないことだし…」
「お父様は心配なんかしてないよ。むしろ喜んでるんじゃ」
「まさか!家出した子供のことが心配じゃない親なんていないよ」
二人で顔を見合わせて首をかしげる少女たちは根本的に危機感が欠如してるのだろうか。これはいけないとエンは眉間を揉む。少女たちが傷ついてからでは遅いのだ。
「ていうかその格好寒いでしょ。女の子は体冷やしちゃダメなんだよ。そんな格好で外出歩くのも危ないし、君たちによからぬことをしようと近づいてくるゲス男だっているんだ」
「変なの?」
「う…ん、少なくとも一般的ではない、かな…」
妖しく黒光りする素材の衣装。大きく開いた胸元に視線を落とし次に上目遣いで問うてくるシロに、目のやりどころに困り不自然に泳ぐ兄の視線にコウは呆れ顔。
「でもこの書物の女の人、私たちと似たような服着てるよ」
「だー!!それは別!!コウ、出しっぱなしにすんなよ!!」
「それ俺のじゃねーよ」
「いいから!!」
いつ発見したのかクロが持ついかがわしい本を物凄い速さで奪いその勢いのまま台所に投げ込んで、エンはクローゼットの中から適当に掴んだ上着を彼女たちに羽織らせる。
「と、とりあえず一度家の人に連絡を入れなきゃだからね。もう夜中だけど仕方ない。迎えに来てもらおう、うん」
携帯を取り出すエンは「番号わかるよね?」とクロに携帯を渡す。しかし二人は物珍しそうに携帯を眺めているだけで意味が分かっていないようだ。
今更だがこの少女たち、持ち物が一切無い。携帯はおろか、身分を証明するようなものもないし、着の身着のままで家出してきたとでもいうのか。
不良には見えないが、色々と事情でもあったのだろうかとエンは頭を掻く。コウもすっかり炭酸の抜けたビールを飲みこんで、最悪、警察に押し付けるかと考え始めていた。
暫しの沈黙の後、シロが小さな声で呟く。
「帰りたくない。…というか、帰りたくても帰れない」
一定時間操作されなかった手の中の携帯ディスプレイが消灯される。
「喧嘩したから気まずいの?」
「違う。帰り方がわからない」
「遠いところから来たとか?」
「魔界って遠い?」
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悪魔なシロクロに巻き込まれるエンコウ。
一応ロウ双子は20歳くらい、シロクロは16歳くらいって感じ。犯罪臭漂うパロになりそうですね←
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